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沢庵


★お題:「たくあん」。短文小説です。


 温い風に、風鈴が涼やかにりんと鳴るのと、沢庵をぽりと齧る音が響くのは同時だった。
 年寄りしかいないこの村は、そんな些細な音がやけに大きく響く。
 うるさい程の蝉の合唱は波打つ耳鳴りに似て、かえって寂漠の思いを募らせる。
 蝉よりも賑やかに畦道を走る、子供達の姿は今は昔。
「静かになりましたねぇ」
 冷えた麦茶を卓袱台に置き、腰の曲がった妻はぽつりと呟いた。
 人も時代もあまりに変わってしまった、自分達も老い、この村はどんどんがらんどうになっていくと、妻は時折寂しげに言うのだ。今日もまた、遠い昔を懐古しているのだろう。
「変わらんよ、何も」
 小さくなった沢庵を飲み込んで、私も独り言のように呟く。この声も随分しわがれたものだ。
 喉を潤そうと麦茶を口にすると、舌に残る沢庵の甘みが濃くなった。
 次の沢庵に箸をつけ、続ける。
「ずっと同じ味だ」
 すると妻は娘の頃と同様に目を糸にして、「昔より美味しくなっている筈ですよ」と微笑んだ。

(400字)


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

以下、筆者コメントです♪





某所の140字小説のお題指定投稿日に初参加した作品です。

140文字の制限に全く入らず(実際は131文字以内に収めなければいけない)、書きたかった部分をことごとくカットしたので、ここにはロングバージョンを載せてみました。
最初のイメージを全部入れて♪ プラスちょっと付け足して♪

一番書きたかったのは、風鈴と蝉の声です。

どうも一文の音のバランスが悪かったので結局「蝉」としか書いてないのですが、私としてはミンミンゼミのつもり。
最初は蝉の種類を明記するつもりだったので、矛盾や間違いがないかググったところ、リアル蝉画像に倒れそうになりましたとさ。
虫は無理です・・・・・・!(;◇;)

ちなみに参加バージョンはこちら。↓




 年寄りしかいないこの村は、沢庵を齧る音がやけに大きく響く。
 人も時代もあまりに変わったと、今日も寂しげな妻。
「変わらんよ、何も」
 冷えた麦茶を口にすると、沢庵の甘みが濃くなった。
「ずっと同じ味だ」
 妻は昔と同様に目を糸にし、「美味しくなってる筈ですよ」と微笑んだ。

(129文字)



・・・・・・あれ? 何かこっちの方がいいような気もしてきたぞ。
私の書きたいことに意味はないのだろうか・・・・・・?(遠い目)
書きたい文章を全カットしても成り立つのだから、ズレてることは間違いないですよねッ★(;∀;)

あ、あなたはどっちがお好きですかー?(>_<;)


それにしても、初参加のお題が「たくあん」とは!(笑)
どうしよう! 何書こう! どうなる! と焦りましたが、書いてみると意外と普通のワンシーンになりました☆
いやー、ネタに走っとくべきなのかと結構本気で考えてしまいましたよ(笑)。
常連さんにとってもこのお題は異例だったらしく、実際ネタ系で書いてる方も大勢いましたし、中には、
「まったくアンタは~」
とか、
たく!」「あん?」
で、「たくあん」としてる強者も少なからずいました(笑)。


あと、他の参加者さん達の作品は塩辛い沢庵ばかりで、我が家の甘い沢庵が少数派であることを初めて知りました・・・・・・!
知らなかったー!!∑∑(゚□゚;) 戦ッ慄!!


ところで以前「探偵!ナイトスクープ」で、昔合宿だか何かで泊まったお寺の住職が大変厳しくて、食事中の会話や物音はおろか、沢庵を齧る音さえ許されなかった、という依頼があったんです。
それ以来、依頼者は音を立てずに沢庵を食べる努力を続けているのですが、どうしても出来ません。
でも住職には出来ていたのです。
そこでその住職に方法を尋ねるべくお寺に伺うのですが、住職は既に亡く、息子さんが後を継いでいました。

話を聞いてくれた息子住職は一旦奥に退り、それからまた戻って来たのですが、どうも話が噛み合いません。
そこに同じ顔をした住職がもう一人!
なんと住職は双子で、最初に対応した住職と2回目に対応した住職は別人だったのです!

なんて一幕はさておき。
息子住職(双子)に先代の奥義の伝授を頼みましたが、彼等はその技を習得していませんでした。
そこで、息子住職(双子)と依頼者、探偵、みんなで音を立てないように沢庵を一心不乱に食べ続けるのですが……!?

――というのを思い出したので(長いよ!)、この大変シュールな挑戦シーンを文章にしてもう1本書きたかったのですが、時間的に無理でした;

でも正直、音を立てないようにそーっとはむはむはむはむしてる光景は、全然美味しそうに見えなかったです(笑)。
沢庵はポリポリ音をさせて食感を楽しまないと!
うどんをズズっとすすらないと喉ごしを楽しめないのと同じだと思うの。
でも麺より沢庵の方が、無音の難易度は果てしなく高いですよね……住職スゲー!


以上、本文よりあとがきの方が長い沙月でした★
読んで下さった方、ありがとうございますー!(*^_^*)

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Author:沙月(さづき)


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